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聲の形 少年マガジン

投稿日:2014年6月26日 更新日:

少年は小学校のクラスの人気の中心だった。そこへ聾唖者の少女が転校してくる。少年は可愛らしい外見に惹かれてちょっかいを出すが、聾唖者の反応は鈍い。やがてエスカレートする悪戯はクラス全体を巻き込んでイジメと発展してしまう。学校側は問題を認識しながら表沙汰にしなかったので少年は率先して少女に執拗なイジメを繰り返した。しかし少女は登校拒否になって転校し、少年の友人たちは彼の執拗さに呆れ果ていつしか少年は孤立してしまう。

そして少年は中学に進むが周囲と上手く交流が出来なくなっていた。高校生になっても孤独感にさいなまれる彼は自殺を考える。しかしその前に一つだけすることがある。死ぬ前にその聾唖者西宮硝子に石田将也が一言謝ることだった。

 

 

2008年に大今良時の少年マガジンの新人賞受賞作として掲載されるはずだったが、障害者差別問題を扱っているとして「幻の作品」になってしまった。しかし冲方丁原作の漫画「マルドゥック・スクランブル」がヒットしたため、再びデビュー作の掲載が検討され関係者との協議を重ねた結果、ついに2011年単独掲載された。反響は「進撃の巨人」をまさっていて、2013年から満を持して連載が開始された。

デビュー作とその後を描いた第一巻はなかなかよい出だしだったが、第二巻・第三巻と連載が進むにつれて尻すぼみに感じられ、手が遠のいていた。

久々に第四巻に目を通してみた。この巻は凄かった。読み終わったときは何とも言えない読後感が残ったのだが、知らぬうちに涙が湧いてきた。

小学校当時、イジメグループの一人だった植野直花は久しぶりに再会した西宮に「私はあなたのことが嫌いだった」と言い放つ。それに対して硝子はいつのように卑下して「私も私が嫌い」と答える。ところがそれを聞いた植野は西宮の横っ面を張り飛ばした。西宮はショックでふさぎ込むが、将也は植野の真意を悟り、西宮に自信を持たせようとまず何でも誉めるところから始める。

 

漫画を読んでいて植野の行動の意味がわかるまで少し時間がかかった。男同士なら拳でわかり合うことはあるのだが、女同士でもこういうことってあるのだな。嫉妬半分、激励半分だ。

石田や西宮の苦悩が子供たちの読者にも伝わるような表現が漫画以外にあるだろうか。

ドラマだと主演女優の人選に悩みそうだ。アカデミー賞女優マーリー・マトリンや忍足亜希子級の女優が子役にいるだろうか。

アニメならある程度は伝わるが三か月で終わってしまう。ラノベのネタとしては重すぎる。

この作品は漫画の可能性を大きく広げたとして、来年か再来年マンガ大賞を取るのは確実だと思う。

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