今季のアニメは数こそ多いが、ハーレムものか、腐女子が泣いて喜ぶ逆ハーレムものか、ロボットアクションか。いずれにせよ手垢の付いたワンパターンばかり。
その中でやはり「GATE」第2部は脚本が原作の冗長なところを補っていたし、「昭和元禄落語心中」は完全に大人向けアニメに仕上げていて期待が持てる。
「シュバルツェス・マーケン」は「トータルイクリプス」のアナザー・ストーリーで東ドイツを舞台にしている。敵ベータはさらにグロテスクになっているし、国内にも敵がいるという設定なので楽しめそうなのだ。しかし一般のファンは秘密警察シュタージなんてわからないからあまり受けないかも。
PA制作の「ハルチカ」は2回目の真っ白なルービックキューブ問題がやや期待外れ。その代わりA-1制作の「僕だけがいない街」は丁寧に作られている。小学生として昭和63年へ戻った主人公が自分がタイムリープした理由を探し、やがてそれが少女連続誘拐殺人事件を阻止することだと気づき行動を開始する。
まず最初の被害者はクラスで完全に孤立していた。しかし彼女は、どうやら親から虐待を受けていたらしい。彼は彼女に積極的に話しかけ、彼女の洞察力が鋭いことを知ると本音で語り合い信頼を得る。そして彼女を誕生日会に誘うことに成功する。
ひとりぼっちだった女子に主人公が優しい言葉で話しかけ、はじめは拒絶していた彼女が打ち解けるシーケンスは感動的だ。
主人公の声は大人である満島真之介が内面の声を担当し、子役を演ずる土屋太鳳が声変わり前を演じている。日本人で声優ファンはジブリのような俳優の起用に批判的だったが、外人は好意的だった。わたしも予算が許すアニメには積極的に俳優を起用すべきと思う。
最初の被害者役も悠木碧が演じていて、適役である。
主人公の母親役はやはり「名探偵コナン」役を長年演じている高山みなみだが、こういうコナン的な展開になってくると彼女の配役が光る。