原作では「走れメロス」のような男同士の一種の同志愛を描いている、中村吉右衛門版では中村橋之助(現中村芝翫)と平泉成のコンビで描かれた渋い回。
同心小柳安五郎は妻の初産に捕物で付いていてあげられず、妻子共に失った。その後、生き急いでいるかのような小柳だったが、妻子の三周忌の夜、川に身を投げようとする母娘を助けておまさに預ける。女は小柳が捕まえた又八の女房だった。小柳は又八に子細を語り、一目会わせてやると連れ出す。しかし又八は途中で小柳を振り切り逃げ去ってしまう・・・
実は又八と小柳には口にこそ出さぬが、目と目で気持ちが通じ合っていたらしい。その意味では「走れメロス」より高度な以心伝心である。
女優の能年玲奈(芸名のん)が又八の妻役でゲスト出演していた。えらいことにプロの声優相手にきちんと演技していた。さすがアニメ映画「この世界の片隅で」に出演したことによって各賞をかっさらった事だけのことはある。
最終回まであと一回だが、早くも第2期の噂が出ている。さもありなん。