2017年秋シーズンは駄作揃いだったから単に詰まらなかったが、2019年冬の場合はギスギスした雰囲気が加わって、嫌な気分になった。
とくに「けものフレンズ2」vs「ケムリクサ」という因縁の対決が始まった。険悪なムードが流れ、他のアニメも出だしは最悪だったこともあり、他のファンまで嫌な気分にさせられた。
それでも最後は「ケムリクサ」が鮮やかな逆転勝ちを見せて、一方悪者に成り下がった「けものフレンズ2」は袋だたきに会うという愉快な結末を見せた。他のアニメもそれなりエンディングを見せて、2017年秋とほぼ同様な着地点を迎えることができた。
ではランキングを見ていく。第1位は二つある。
第1位「風が強く吹いている」(Production IG制作)・「ケムリクサ」(ヤオヨロズ制作)
点数的に前半は箱根駅伝アニメ「風強」が圧倒的にリードしていたが、8話になって日清食品がバックに付いた「ケムリクサ」が激しく追い込み出して、最後は同着となった。
「風強」が伸びきれなかったのは、脚本家喜安浩平(日本アカデミー脚本賞)がテレビ的なドラマ性を与えなくなかったのだろう。覇権は取れたのだが、そんなものは要らなかったんだろう。
ちなみにたつき監督のアニメ「ケムリクサ」では、りな教徒である。
第3位 荒野のコトブキ飛行隊(デジタル・フロンティア制作)
もとは2015年冬の覇権アニメ「SHIROBAKO」の劇中劇「第三少女飛行隊」から始まった企画である。初めは今期覇権候補の一つだったが、やや低空飛行に終わった。それでも最後に3位に持ってくる辺りは水島努監督の手腕だろう。横手美智子の脚本はかなり冴えなかった。
これはヘッドホンを使い、レシプロ機の轟音を楽しむべきアニメなのだが、後半は視聴率ほしさのため、次第にBGMの方がうるさくなって、本末転倒になってしまった。映画の「空軍大戦略」は初めにウォルトンに依頼して作った劇伴音楽と実際の映画館で掛かったものと二つの音楽がある。それと似たような違いがある。
以上が今期の優秀作品である。
次に今期佳作を紹介。
第4位 ドメスティックな彼女 (ディオメディア)
姉妹に愛された男子高校生のハーレムアニメである。終わりそうで終わらなくて好きだった瀬尾公治アニメは「風夏」の大失敗で終わったようだが、女性マンガ家流石景をこれからは売り出すつもりのようだ。本当は僧侶枠でも良かったが、一応マガジン枠なので、エロシーンは規制されていた。コミックの付録OVAでは見えている。
第5位 かぐや様は告らせたい (A-1)
3話と10話だけ盛り上がった。これも大いに期待されたアニメだったが、藤原書記(CV小原好美)の演技力があまりに凄すぎて、他の主役陣がかすんでしまった残念な作品。声優にコストを掛け、演技力の質を揃えるべきだった。
あとは期待外れだった作品。
「ブギーポップは笑わない」は、原作者が演出に口を出したのか主演に悠木碧を使いながら、残念な出来だった。
「約束のネバーランド」はスリルとサスペンスいっぱいの筈が、盛り上がりに今ひとつ欠けた。
「どろろ」は手塚作品をCGアニメにするという思い切ったことをやって成功したと思う。ただし、オリジナルも水木しげるに刺激されて作ったイマイチの作品だから・・・。
「賭けグルイXX」は第一期よりもずっと良かった。第三期も確実視されている。
「同居人はひざ、時々頭の上」は期待した猫アニメだったが、猫の声優が期待外れ。
「とある魔術」「ジョジョ」「SAO」は惰性で見ていたが、もう止めても良いだろう。
「五等分の花嫁」は五人も同じ顔を並べてハーレムものというのが痛すぎる。豪華声優を並べて内容がない。
「ガーリーエアフォース」は声優の演技が下手。
最後に「けもフレ2」だが、私は「けもフレ1」と関係ないものとして見ていた。だからそれなりの駄作アニメだと思っていたが、かばんさんが登場してこのアニメの本質が分かった。「けもフレ1」の全否定である。よほど吉崎観音とたつきの溝が大きいのだろう。テレビ東京は夏休みに朝の子供向けアニメにするつもりなのに、これでは難しいのではないか。テレ東の社員細谷Pは左遷されても文句が言えない出来だ。もちろん、裏では製作委員会を牛耳る闇のPがいるのだろう。
次に音楽賞と監督賞。
「ケムリクサ」のOP、ED、「かぐや様は告らせたい」のOPを抑えて受賞したのは、
音楽賞 「かぐや様は告らせたい」第三話の特殊ED「チカっとチカ千花♡」by藤原書記(CV小原好美)
である。
優秀監督賞 「ケムリクサ」のたつき監督
彼の圧倒的な力を見せつけられた。ぜひ劇場版にチャレンジしてほしい。新海誠を超える可能性のある人だ。
他の賞は該当者無しよ。