2018年秋アニメは豊作だったという意見が大勢だ。上位は確かに面白かったが、中位のアニメは終盤にバテたものが多く見られた。昨年は確かに酷かったが、秋アニメとして今年は例年並みと言えよう。先ず結果から。
第1位 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
制作CloverWorks(A-1系列) 監督増井壮一 原作 鴨志田一
岡田麿里一派の脚本や、自らライトノベルも書いている鴨志田一の大ヒット作品を見事にアニメ化した。昨年のアニメ化作品「Just Because」の失敗があったから当初信用出来なかったが、これは筒井康隆「時をかける少女」以来のラノベ王道の青春SFファンタジーであり、傑作だった。しかも劇場版上映が既に決定している。
主人公は梓川咲太、高校二年生である。彼には自分でも気付いていない秘密があった。そんな或る日、元子役スターで学校一の有名人桜島麻衣が図書館でバニーガールの格好をしているところに出くわす。しかし周囲の人たちには彼女の姿が見えないらしい・・・
第2位 SSSS.GRIDMAN
制作TRIGGER 監督雨宮哲 原作「電光超人グリッドマン」(円谷プロ)
TRIGGERと円谷プロの協力の下、すばらしい巨大ヒーローアニメが出来た。原作は25年前の特撮実写ドラマ「電光超人グリッドマン」、子供向けながらネット社会やサイバー空間を示唆する内容だった。原作の焼き直しではないが、この作品も原作を織り込んで、非常に通好みな展開だった。第2期は難しそうだ。
第3位 Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2
制作ニトロプラス、霹靂社、グッドスマイルカンパニー 監修虚淵玄
台湾と日本の合作人形劇だが、前期に続き再びベスト3に入ってしまった。今期のアニメが必ずしも面白いものだけではなかったことの証左である。元ネタが「ルパン三世」だけあって、分かっていても面白い。早速第3期制作も発表され、長期作になりそうだ。
佳作
ウチのメイドがウザすぎる! 制作動画工房 監督太田雅彦
航空自衛隊を退役したメイドとロシア美幼女が織りなすシットコム。沼倉愛美の筋肉メイドが合わなくてトップ3に加われなかったが、ミーシャ役の元AKB48白石晴美は好演。さらに森川役の井澤詩織がジャストミート。動画工房としてはチア・アニメ「アニマエール」と二本立てとなった今期だが、よく頑張ったと思う。
風が強く吹いている(前期) 制作Production IG 監督野村和也 原作三浦しおん
無名校が箱根駅伝を1年で目指す無謀スポ根。三浦しおんの原作小説はヒットして既に実写映画化されている。初めは、たまたま同じアパートに住む10人でムリヤリ箱根を目指すも、皆がバラバラで先行きが見えない展開だったが、第9話からメンバーが噛み合い始めて内容も面白くなった。
最優秀アニメ音楽賞 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない ED 「不可思議のカルテ」
今期は「青ブタ」のOP「君のせい」も「SSSS.GRIDMAN」の主題歌 OxTの「UNION」も良かった。この曲はサビに続くAメロの、いかにも青春の持つ不安げな音程が気持ちよかった。瀬戸麻沙美の単独ボーカル・バージョンが非常に気に入っている。
最優秀キャラクター 梓川かえで(主人公咲太の妹)
妹萌ラノベ(あるいはアニメ)はこの世に溢れているが、原作をプロの鴨志田一が書くとここまで差が付くのかとよくわかった。もうこれを超える妹萌ラノベ・アニメは出まい。桜島麻衣がアニメのヒロインだが、最も目立っていたのは久保ユリカが声を演ずるかえで(花楓)だった。
特別賞 「僕が好きなのは妹だけど妹じゃない」
凄い作品だった。作画崩壊と言われるが、そんなことは大したことではない。昔のセル画アニメは再放送の度に絵が溶けてしまい、ふにゃふにゃになった。それと比べるとずっとマシだ。最近の子どもはアニメーターに掛かる負荷を考えず、批判だけする。それに監督と制作がやけっぱちになって、原型がワケがわからないほどにやっちゃった。その結果、同人アニメ的な何かを生み出してしまった。主演の近藤玲奈は「けものフレンズ」コツメカワウソ役の「たーのしー」と言う台詞でブレイクしたが、「いもいも」の最終回公園でのシーンで「お兄ちゃんは妹が好きですー」と回りながら言う台詞が重なって見えた。「けものフレンズ」と「いもいも」は実は紙一重だったのではないかと考える。出来ればフルCGで作れば良かったw。